招き猫先生の『ことちか日記』

招き猫先生の『ことちか日記』R2 8/27

先日、旧知の写真屋さんから、残暑見舞いが届いた。「諫早干拓から普賢岳を望む」とタイトルがつけてある。
青空をバックに、麦わら帽子が宙を舞っている。
そして、Mama do you remember…と続く英文が記されている。

ほぼ同世代である写真屋さんと吾輩は意図するところが一発でわかるのである。
本日、その写真屋さんと会い、「残暑見舞い、ありがとうございます。ジョー山中を聴きたくなりましたよ。」と声をかけると、ニヤッと笑い、「わかる人にはわかる。」と返ってきた。ここまで読んでいただいた皆様、「なんのこっちゃ?」と感じられた方は、40代以下の方だろうか。

ちと長くなるが、説明しよう。

森村誠一さんの『人間の証明』という長編推理小説がある。1977年に、それを原作として映画が制作された。
「犬神家の一族」に次ぐ角川春樹事務所製作第二弾作品としてである。
日本とアメリカを舞台に、戦後30年という歳月に刻まれたさまざまな人間の生きざまを描くサスペンス・ドラマであった。

 

その作品の中に取り上げられている西条八十さんの『帽子』という詩がある。

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。……

そして、これをモチーフにした英語による歌詞の主題歌を歌ったのが、映画にも出演したジョー山中さんだったのである。

ジョー山中さんのこの歌は是非ご視聴いただきたい。多くのアーティストがカバーして歌っている。名曲である。

説明が冗長になり申し訳ないが、つまり、1977年当時、一世を風靡した一連の角川映画を知っている世代は、青空に舞う麦わら帽子と、「ママードゥーユウリメンバー…」で、何を表しているのかがわかるのである。

吾輩としては、森村さんの小説が面白かったが、映画も結構話題になった覚えがある。

当時のキャッチコピーは「読んでから観るか、観てから読むか。」というものだった。

洒落た残暑見舞いのおかげで、40数年前を思い出したひとときであった。

本日はここまで。

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