金メダルが長崎日大にやってきた。
東京五輪柔道81キロ級に出場した永瀬貴規さんが、悲願の金メダルを胸に、来校してくださったのである。
初出場で銅メダルを獲得したリオ五輪の後、選手生命を左右されかねない大怪我を克服しての東京五輪出場、そして、当たり前のことではあるが、全ての選手が強豪ぞろいのトーナメントを制しての金メダル獲得、この偉業達成に心からの敬意を表したい。
また、ご家族様をはじめ、永瀬選手を温かく支えていただいたすべての関係の皆様にも深く感謝申し上げたい。
思い起こせば、試合当日は、コロナ禍において、かなりの制約がついた「パブリックではないビューイング」であったが、金メダルが決定した瞬間、全員が声を出さずに立ち上がり、両手を高々と掲げ、嬉しさを爆発させ、感動を共有することができた。
その瞬間、恩師の松本太一先生の目が潤んでいたことも忘れられない。
長崎日大で学んだ卒業生が、このような快挙を成し遂げてくれたことは、本校に関係する皆さんが誇りに思う、長崎日大の誉れである。
さて、吾輩にとって、特に強く記憶に残っている永瀬さんの言葉を紹介しよう。
リオ五輪の前、壮行会において当時の在校生に語ってくださった言葉である。
「目標を達成するためには犠牲が必要だ。」
「犠牲」と言う言葉は、何もかもが優しくなっている現在において刺激的な響きがあるかもしれない。
しかし、この場合の「犠牲」とは、「妥協しない厳しさ」ということだろう。
何かを成し遂げるためには、楽しさや心地よさだけを大切にするのではなく、
自分に対する厳しさがなくてはならないという教えだと思う。
永瀬さんと話していていつも感じるのは、高校時代から変わることのない穏やかで優しい人柄である。
松本太一先生が言った。「永瀬も今いる生徒もみんな同じ人間です。ただ、すごいなぁで終わらずに自分たちも目標に向かって頑張ってほしいものです。」と。
いたく、同感である。「彼も人なり。吾も人なり。」である。
長崎日大の生徒さんたちが、それぞれの目標に向かって、永瀬選手のように、自分に厳しく、人にやさしく、決して挫けることなく、前進し続けていただきたいと心から願う吾輩である。
永瀬選手、本当にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。
本日はここまで。